【2026年10月改正】20歳前傷病の障害基礎年金の所得制限はいくら変わる?

20歳前の傷病による障害基礎年金を受給している方の中には、

「働いて収入が増えると障害年金が止まってしまうの?」
「所得はいくらまでなら受給できるの?」

と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある障害基礎年金には、本人の前年所得に応じて年金額の一部または全部が支給停止となる仕組みがあります。

この所得制限の基準額について、2026年10月分から引き上げられることとなりました。

扶養親族等がいない場合、2分の1支給停止に関する基準額は376万1,000円から385万8,000円へ、全額支給停止に関する基準額は479万4,000円から491万8,000円へ引き上げられます。

この記事では、2026年10月から所得制限がどのように変わるのか、具体例も交えながら解説します。

2026年10月から所得制限額はいくら変わる?

2026年10月分から、20歳前傷病による障害基礎年金の所得基準額は次のように変更されます。

所得基準 2026年9月分まで 2026年10月分から 引上げ額
2分の1支給停止に関する基準 3,761,000円 3,858,000円 97,000円
全額支給停止に関する基準 4,794,000円 4,918,000円 124,000円

扶養親族等がいない場合、2026年10月分以降は、原則として本人の所得額に応じて支給停止の有無が判定されます。

所得が3,858,000円以下の場合
→ 所得を理由とする支給停止の対象とならないと考えられます。

所得が3,858,000円を超え、4,918,000円以下の場合
→ 年金額の2分の1が支給停止となる可能性があります。

所得が4,918,000円を超える場合
→ 年金額の全額が支給停止となる可能性があります。

そのため、これまで所得制限の基準額をわずかに超えていた方については、今回の引上げによって支給停止の状況が変わる可能性があります。

20歳前傷病による障害基礎年金とは?

今回の所得制限は、すべての障害年金に同じように適用されるものではありません。

対象となるのは、主に20歳前の年金制度に加入していない期間に、障害の原因となった病気やケガの初診日がある方が受ける障害基礎年金です。

初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を指します。

20歳前傷病による障害基礎年金は、年金制度への加入を要件とせずに受給できる場合があることから、本人の所得に応じた支給制限が設けられています。

そのため、「障害年金を受給しながら働くと必ず年金が止まる」ということではありません。

なぜ所得制限額が引き上げられるの?

今回の改正では、20歳前傷病による障害基礎年金の受給者における前年所得の状況などを踏まえ、所得基準額が見直されています。

前年に障害基礎年金を受給していた方が、所得水準の変化などによって翌年に支給停止となることをできる限り避けるという考え方なども踏まえ、今回の改正が行われています。

2026年10月分からは、2分の1支給停止に関する基準が97,000円、全額支給停止に関する基準が124,000円引き上げられます。

具体的にどのような人が影響を受ける可能性がある?

所得が380万円の場合

扶養親族等がいない方で、所得制限の判定に用いられる所得額が380万円だったケースを考えてみます。

2026年9月分までの基準では376万1,000円を超えるため、所得のみでみると2分の1支給停止の対象となる範囲に入ります。

一方、2026年10月分からの基準額である385万8,000円は下回っています。

そのため、ほかの条件等も踏まえて判断されますが、所得を理由とする2分の1支給停止の対象から外れる可能性があります。

所得が485万円の場合

次に、所得制限の判定に用いられる所得額が485万円だったケースを考えてみましょう。

2026年9月分までの全額支給停止に関する基準額479万4,000円を超えています。

一方、2026年10月分からの基準額491万8,000円は下回ります。

そのため、所得のみで比較した場合には、全額支給停止ではなく、2分の1支給停止の範囲となる可能性があります。

このように、所得が改正前後の基準額に近い方は、今回の改正によって支給状況に影響が生じる可能性があります。

「年収」ではなく「所得」で判定される点に注意

特に注意したいのは、385万8,000円や491万8,000円という金額が、会社から受け取る給与の「年収」そのものを意味するわけではない点です。

20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限では、法令に基づいて計算された「所得額」をもとに判定されます。

たとえば給与を受け取っている場合、給与収入そのものではなく、給与所得控除後の所得などが判定の基礎となります。

また、所得の種類や適用される控除などによっても、判定に用いられる所得額が異なる場合があります。

そのため、「年収が385万8,000円を超えたため、障害年金が半分になる」といったように、年収だけで判断することは避けたほうがよいでしょう。

扶養親族等がいる場合は基準額が変わることも

ここまで紹介した385万8,000円、491万8,000円という基準額は、扶養親族等がいない場合の金額です。

扶養親族等がいる場合には、その人数や区分に応じて所得制限の基準額に一定額が加算されます。

基本的には扶養親族等1人につき38万円が加算されますが、老人扶養親族や特定扶養親族などについては、異なる加算額が適用される場合があります。

そのため、実際に所得制限の対象となるか確認する際には、本人の所得だけでなく、扶養親族等の状況もあわせて確認することが重要です。

また、2026年10月分以降については、特定親族特別控除が一定の場合に所得の計算上考慮される仕組みも設けられています。

2026年10月分は何年の所得で判定される?

20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限は、原則として前年の本人所得をもとに判定されます。

そのため、2026年10月分から2027年9月分については、原則として2025年中の所得が判定の基礎となります。

2026年に入ってから収入が増えた、あるいは減った場合であっても、その変化が2026年10月分からの所得判定に直ちに反映されるとは限りません。

通常の障害年金すべてに同じ所得制限があるわけではありません

障害年金について、「働いたら年金が止まるのではないか」と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今回解説している本人所得による支給制限は、主に20歳前傷病による障害基礎年金について設けられているものです。

20歳以後に初診日がある一般的な障害基礎年金や障害厚生年金について、今回紹介した所得基準額がそのまま適用されるわけではありません。

ただし、障害年金では、傷病や障害の状態によっては就労状況が障害状態を判断する際の一つの要素として確認されることがあります。

そのため、「働いているから障害年金を受給できない」「収入があるから年金が支給停止になる」と一律に判断するのではなく、初診日や加入していた年金制度、障害の状態、所得などを個別に確認することが大切です。

まとめ:2026年10月から所得制限の基準額が引き上げられることについて

 

2026年10月分から、20歳前傷病による障害基礎年金の所得制限に関する基準額が引き上げられます。

扶養親族等がいない場合、2分の1支給停止に関する基準額は376万1,000円から385万8,000円へ、全額支給停止に関する基準額は479万4,000円から491万8,000円へ変更されます。

これまで所得制限によって障害基礎年金の一部または全部が支給停止となっていた方のうち、所得が新旧の基準額の間にある場合には、2026年10月分以降の支給状況が変わる可能性があります。

ただし、所得制限は単純な「年収」ではなく、法令上の所得額をもとに判定されます。また、扶養親族等の状況や各種控除などによって、実際の判定結果が異なる場合があります。

グロースリンク社会保険労務士法人では、障害年金に関するご相談を承っています。

「自分の所得では支給停止の対象になるのか確認したい」「20歳前に初診日があるが障害年金を請求できる可能性があるのか知りたい」といった場合には、お気軽にご相談ください。

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