大人の発達障害とは?【専門の社労士が徹底解説!】
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こんにちは!
グロースリンク社会保険労務士法人の土江です。
「職場で何度も同じミスをしてしまい、上司から注意を受けている」「人とのコミュニケーションがうまくいかず、仕事が長続きしない」「集中力が続かず、仕事の段取りがうまく組めない」こんな悩みを抱えている方、いらっしゃるかと思います。
実は、これらの困りごとは「大人の発達障害」が原因かもしれません。近年、大人になってから発達障害と診断される方が増えています。今回は、大人の発達障害について、そして発達障害の方が受けられる障害年金について詳しく解説していきます。
大人の発達障害とは
発達障害とは、脳の発達に関わる生まれつきの障害で、主に社会生活や学習、コミュニケーションに困難を伴う障害です。従来は子どもの障害として認識されることが多かったのですが、最近では大人になってから発達障害と診断される方が増えてきています。
では、なぜ大人になるまで気づかれないことがあるのでしょうか。発達障害の特性は人によって程度が異なり、子どもの頃は学校や家庭でのサポートがあったり、本人の努力でなんとか乗り越えられていたりすることがあります。しかし、社会人になって求められる業務が複雑になったり、責任が重くなったりすると、これまで隠れていた特性が顕在化し、日常生活や仕事に大きな支障をきたすようになるのです。
発達障害の種類と特徴
発達障害には主に3つのタイプがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
ADHD(注意欠如・多動性障害)
ADHDは、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの症状を特徴とする障害です。大人のADHDでは、仕事でのミスが多い、物をよくなくす、約束を忘れる、じっとしていられない、思いついたことをすぐに口に出してしまうといった症状が見られます。職場では、期限を守れない、書類の整理整頓ができない、会議中に落ち着きがないといった形で現れることが多くあります。
ASD(自閉スペクトラム症)
ASDは、対人関係やコミュニケーションの困難さ、こだわりの強さを特徴とする障害です。相手の気持ちを読み取ることが苦手で、場の空気が読めない、冗談や比喩が理解できない、特定の物事へのこだわりが強く変化に対応できないといった特性があります。職場では、暗黙のルールが理解できない、報告・連絡・相談が適切にできない、急な予定変更に対応できないといった困難さが生じることがあります。
LD(学習障害)
LDは、知的発達には遅れがないものの、読む・書く・計算するといった特定の学習に困難がある障害です。大人になってからは、書類の読み書きに時間がかかる、数字の処理が苦手といった形で仕事に支障をきたすことがあります。
なお、これらの発達障害は単独で現れることもあれば、複数が併存していることもあります。また、発達障害の特性によるストレスから、うつ病や不安障害などの精神疾患を併発することも少なくありません。
大人の発達障害で障害年金はもらえるのか
発達障害によって日常生活や就労に大きな制限がある場合、障害年金を受給できる可能性があります。「発達障害では障害年金はもらえないのでは?」と思われている方も多いのですが、実際には多くの方が受給されています。
障害年金には、国民年金に加入している方が対象となる障害基礎年金と、厚生年金に加入している方が対象となる障害厚生年金の2種類があります。発達障害の場合、障害の程度によって1級から3級までの等級が認定される可能性があります。
障害年金の等級と状態
発達障害における障害年金の認定基準を簡単にまとめると以下のようになります。
1級の状態
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とする状態です。食事や入浴、金銭管理など日常生活の基本的なことについても、常に誰かのサポートが必要な状態を指します。
2級の状態
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要な状態です。一人暮らしができない、あるいはできても誰かの見守りや支援が必要な状態を指します。
3級の状態
労働に著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の状態です。これは障害厚生年金のみが対象となる等級で、一般企業での就労は困難であるものの、障害者雇用や支援を受けながらの軽作業であれば可能という状態を指します。
障害年金を受給するための3つの要件
発達障害で障害年金を受給するためには、次の3つの要件を満たす必要があります。
初診日要件
発達障害の症状により、初めて医療機関を受診した日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していたことが必要です。ただし、発達障害に知的障害を伴う場合は、生まれつきの障害として扱われるため、この要件は問われません。
大人の発達障害の場合、注意が必要なのは初診日の考え方です。発達障害と確定診断された日ではなく、その症状により初めて医療機関を受診した日が初診日となります。例えば、最初はうつ病と診断され通院を始め、その後に発達障害と診断された場合、うつ病で初めて受診した日が初診日となる可能性があります。
保険料納付要件
初診日の前日において、初診日がある月の2カ月前までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること、または初診日の前日において、初診日がある月の2カ月前までの直近1年間に保険料の未納がないことが必要です。これも知的障害を伴う発達障害の場合は問われません。
障害状態要件
初診日から1年6カ月経過した日(障害認定日)において、障害等級に該当する障害の状態にあることが必要です。発達障害の場合、医師の診断書に加えて、日常生活や就労の状況を詳しく記載した病歴・就労状況等申立書が非常に重要になります。
働きながらでも障害年金は受給できるのか
「仕事をしているから障害年金はもらえない」と思われている方が多いのですが、実際には働きながらでも障害年金を受給できる可能性はあります。
発達障害などの精神疾患の場合、審査では日常生活能力と就労状況を総合的に判断します。ここで言う「労働能力」とは、健常者と同じ労働環境で、同様の仕事ができる能力を指します。したがって、職場で特別な配慮を受けている場合、例えば短時間勤務にしてもらっている、簡単な作業のみを担当している、上司や同僚のサポートを常に受けながら働いているといった状況であれば、完全に労働能力があるとは言えず、障害年金を受給できる可能性があります。
また、障害者雇用での就労や、就労支援施設での軽作業の場合も、仕事の内容や配慮の程度、雇用形態などによっては障害年金の対象となることがあります。
大人の発達障害で障害年金を申請する際の注意点
初診日の証明が重要
発達障害の場合、大人になってから診断されることが多いため、初診日の証明が難しいケースがあります。可能な限り、初めて受診した医療機関の診察券や領収書、お薬手帳などを保管しておくことが大切です。また、受診のきっかけとなった出来事や、その時の症状をメモしておくことも有効です。
病歴・就労状況等申立書の書き方
発達障害の場合、診断書だけでは日常生活の困難さが十分に伝わらないことがあります。そのため、病歴・就労状況等申立書において、具体的なエピソードを詳しく記載することが非常に重要です。
幼少期からの困りごと、学生時代の状況、就職してからの失敗体験、対人関係での苦労、日常生活での支障など、できるだけ具体的に記載しましょう。例えば、「コミュニケーションが苦手」ではなく、「上司への報告のタイミングが分からず、期限直前になって未完成の状態で報告してしまい、何度も叱責を受けた」といったように、具体的な場面を記載することで、審査する側に困難さが伝わりやすくなります。
一人暮らしをしている場合
一人暮らしをしているという事実だけで、日常生活能力があると判断されるわけではありません。実際には家族の頻繁な訪問や支援を受けている、部屋が片付けられず生活環境が悪化している、食事が適切に摂れていないといった状況であれば、それらを詳しく記載することで、援助が必要な状態であることを示すことができます。
二次障害の併発について
発達障害の特性によるストレスから、うつ病や適応障害などの精神疾患を併発することがあります。この場合、発達障害と精神疾患が同一の疾病として扱われるか、別の疾病として扱われるかによって、初診日が変わる可能性があります。この判断は非常に複雑で専門的な知識が必要となりますので、障害年金専門の社労士にご相談されることをおすすめします。
障害年金の申請の流れ
発達障害による障害年金の申請は、以下のような流れで進めていきます。
まず、年金事務所または市区町村の年金窓口で受給要件を満たしているかを確認します。その後、医師に障害年金用の診断書を依頼します。この際、日頃の診察では伝えきれていない日常生活の困難さを、メモにまとめて医師に渡すと良いでしょう。
次に、病歴・就労状況等申立書を作成します。これは請求者本人やご家族が作成する書類で、発症から現在に至るまでの経過を詳しく記載するものです。その他、初診日を証明する書類や、年金加入状況を証明する書類などを準備します。
すべての書類が揃ったら、年金事務所に提出し、審査を受けます。審査には通常3カ月から4カ月程度かかります。認定されれば、障害年金の受給が開始されます。
最後に
大人の発達障害で悩んでいる方、仕事や日常生活に支障をきたしている方は、ぜひ障害年金の申請を検討してください。発達障害による障害年金の申請は、初診日の特定や病歴・就労状況等申立書の書き方など、専門的な知識と経験が必要な部分が多くあります。
当事務所では、障害年金の申請サポートを専門に行っております。「自分は障害年金を受給できるのか」「どのように申請を進めればよいのか」といった疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。初回面談は無料で承っております。お気軽にお問い合わせください!


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