労災と障害年金は同時にもらえるの?【専門の社労士が徹底解説!】

こんにちは!

グロースリンク社会保険労務士法人の土江です。

今回は、「労災保険と障害年金は両方もらえるの?」という、多くの方が疑問に感じられる点について詳しく解説していきたいと思います。

仕事中や通勤中の事故で障害が残ってしまった場合、労災保険から給付が受けられることはご存じの方も多いでしょう。しかし、同じ障害について障害年金も請求できるのか、また両方を同時に受給できるのかについては、意外と知られていないのが実情です。

結論から申し上げますと、労災保険と障害年金は同時に受給することができます。ただし、両方を満額で受け取れるわけではなく、一定の調整が入ることになりますので、その仕組みについてしっかりと理解しておくことが大切です。

障害年金とは

まず、障害年金について簡単におさらいしておきましょう。

障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に制限が生じた場合に支給される年金制度です。公的年金に加入している方が対象となり、初診日にどの年金制度に加入していたかによって、障害基礎年金か障害厚生年金のどちらかを受給することになります。

障害年金を受給するためには、初診日要件、保険料納付要件、障害状態該当要件という3つの要件を満たす必要があります。特に初診日において公的年金に加入していることが原則となっており、初診日に厚生年金に加入していれば障害厚生年金、国民年金に加入していれば障害基礎年金の対象となるわけです。

障害厚生年金は、障害基礎年金と比較して支給対象となる障害の範囲が広く設定されており、比較的軽度の障害であっても3級や障害手当金として受給できる可能性があります。

労災保険の障害給付とは

次に、労災保険における障害給付について見ていきましょう。

労災保険は、業務上の理由や通勤中の事故によって労働者が負傷したり病気になったりした際に、必要な保険給付を行う制度です。負傷や疾病が治った後に身体に一定の障害が残った場合には、障害(補償)等給付を受給できることになります。

障害年金との大きな違いとして、労災保険では原則として傷病が「治った」状態、つまり症状が固定した後でなければ障害給付を受給できないという点が挙げられます。障害年金の場合は初診日から1年6ヶ月経過した障害認定日の時点で判断されますが、労災保険はあくまでも傷病が治癒してからの判定となるのです。

また、労災保険の障害等級は1級から14級まで設けられており、1級から7級までは障害(補償)等年金として年金形式で支給され、8級から14級までは障害(補償)等一時金として一時金の形で支給されます。給付額は給付基礎日額に基づいて計算され、等級が重くなるほど支給日数分も多くなる仕組みです。

両方を同時に受給できるのか

ここからが今回の本題です。労災保険と障害年金は、果たして両方を同時に受給できるのでしょうか。

注意すべき点として両方を満額で受け取れるわけではありません。これを「併給調整」と呼んでいます。

基本的に障害年金は満額を受給できますが、労災保険の障害(補償)等給付については一定の割合で減額されることになります。つまり、障害年金が優先して支給され、労災保険の給付額が調整されるという形になるのです。

ただし、すべてのケースで併給調整が行われるわけではありません。併給調整の対象にならないケースとしては、異なる傷病が原因で障害年金と労災保険の給付が支給される場合や、労災保険で障害等級8級から14級に該当し、一時金として受け取る場合が該当します。

つまり、併給調整が行われるのは、同じ傷病に基づいて両方の給付が支給され、かつ労災保険で障害等級1級から7級に該当して年金形式で受給する場合に限られるということです。

併給調整の具体的な仕組み

それでは、具体的にどのような割合で調整が行われるのでしょうか。

併給調整では、受給している障害年金の種類によって労災保険の給付に掛けられる率が異なります。障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受給している場合は0.73、障害厚生年金のみを受給している場合は0.83、障害基礎年金のみを受給している場合は0.88という掛け率が適用されます。

たとえば、障害基礎年金のみを受給している方の場合、掛け率が0.88ですから、労災保険の障害(補償)等給付のうち12パーセントが減額されることになります。障害基礎年金と障害厚生年金の両方を受給している方であれば、掛け率は0.73となり、27パーセントが減額されるという計算になるわけです。

このように、障害年金の方は満額受給でき、労災保険の給付が一定割合で減額されるという形で調整が行われます。

20歳前傷病の場合の特例

ここで一つ、注意していただきたい特例があります。

20歳前傷病によって障害基礎年金を受けている方が、労災保険の障害(補償)等年金を受給できる場合には、障害基礎年金が全額支給停止になってしまうのです。

20歳前傷病とは、年金加入義務が発生する20歳になる前に初診日がある場合に、特例として障害基礎年金を受給できる制度のことです。先天性の障害などで20歳前傷病による障害基礎年金を受給していた方が、就職後に労災事故に遭い、労災保険から障害補償年金を受給できることになった場合、障害基礎年金の方が全額停止されてしまいますので、この点は十分にご注意ください。

 

まとめ

今回は、労災保険と障害年金の関係について詳しく解説してまいりました。

労災保険の障害給付と障害年金は、同時に受給することが可能です。ただし、同じ傷病が原因で、かつ労災保険から年金形式で受給する場合には、労災保険の給付額が一定の割合で減額される併給調整が行われます。障害年金については満額を受給でき、労災保険の方が受給している障害年金の種類に応じた掛け率で調整されることになります。

仕事中や通勤中の事故で障害が残ってしまった場合、労災保険と障害年金の両方を請求できる可能性があります。どちらか一方だけしか受給できないと思い込んでいる方も多いのですが、実際には両方を受給できますので、ぜひ両方の制度について検討していただきたいと思います。

ただし、それぞれの制度には複雑な要件や手続きがあり、個々のケースによって受給できる金額や調整の内容も異なります。特に併給調整の計算や、第三者行為災害の場合の取り扱いなど、専門的な知識が必要となる部分も多くあります。

当事務所では、労災による障害でお困りの方からの障害年金に関するご相談も承っております。労災保険と障害年金の両方を受給できる可能性がある場合には、それぞれの制度を最大限に活用できるよう、丁寧にサポートさせていただきます。

 

労災による障害年金についてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。専門の社会保険労務士が、皆様の状況に応じた最適なアドバイスをさせていただきます。現在、当事務所では無料相談を実施しています。無料相談はコチラまで!

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