XPは障害年金の対象なの?【専門の社労士が徹底解説!】

こんにちは!

グロースリンク社会保険労務士法人の土江です。

「色素性乾皮症(XP)」と診断されて、これからの生活に不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。特に小さなお子様がXPと診断された場合、ご両親は将来への心配で胸がいっぱいになることと思います。

今回は、「XPでも障害年金はもらえるのか」という疑問について、障害年金の専門家である社労士の立場から詳しくご説明させていただきます。

XPってどんな病気なの?

色素性乾皮症(XP)は、紫外線によって損傷を受けたDNAを修復する機能に障害がある遺伝性の疾患です。日本では出生数15万人に1人という非常に稀な病気で、現在約300~600人の患者さんがいらっしゃると推定されています。2007年3月には指定難病(告示番号159番)として認定されました。

(厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000084783.html)

XPの症状は多岐にわたります。幼少期にはわずかな日光曝露で重度の日焼けのような症状が現れ、顔面にそばかす様の色素沈着が見られるようになります。成長に伴って皮膚がんの発症リスクが健常者の約2000倍にもなることが知られており、厳重な紫外線対策が生涯にわたって必要となります。

さらに、日本人に多いA群のXPでは、3歳頃から進行性の神経症状が出現することが多く、歩行障害や誤嚥、聴力障害といった症状が現れてきます。これらの神経症状は紫外線とは無関係に進行するため、遮光だけでは防ぐことができません。

XPで障害年金はもらえるの?

結論から申し上げますと、XPは障害年金の対象となる可能性があります

ただし、XPという診断名だけで自動的に障害年金が支給されるわけではありません。大切なのは「どの程度日常生活や労働に支障があるか」という点です。

XPの場合、皮膚症状による生活制限と神経症状による機能障害の両面から障害の程度が評価されることになります。たとえば、厳重な遮光対策が必要なために通常の社会生活が著しく制限されている場合や、神経症状によって歩行や日常生活動作に支障が出ている場合などは、障害年金の対象となる可能性が高くなります。

どんな診断書が必要になるの?

XPで障害年金を申請する際には、症状に応じた診断書が必要になります。

皮膚症状が主な場合は「皮膚疾患の診断書」を使用します。皮膚がんの発生状況や、日常生活における遮光対策の必要性、それによる生活制限の程度などが記載されます。

神経症状がある場合は「肢体の障害用の診断書」または「精神の障害用の診断書」が必要になることもあります。歩行障害や四肢の運動機能障害がある場合は肢体用、知能低下や認知機能の低下が見られる場合は精神用の診断書を使用することがあります。

複数の症状が重複している場合は、それぞれの診断書を準備する必要があります。この点は判断が難しいため、専門家にご相談されることをお勧めいたします。

障害年金をもらうための要件は?

障害年金を受給するためには、次の3つの要件を満たす必要があります。

まず1つ目は「初診日要件」です。初診日とは、障害の原因となった病気について初めて医師の診療を受けた日のことをいいます。XPの場合、多くは乳幼児期に症状が出現して診断されますので、20歳前の初診となることが一般的です。20歳前に初診日がある場合は、年金の加入状況に関わらず障害基礎年金の対象となります。

2つ目は「障害状態要件」です。障害認定日(原則として初診日から1年6か月を経過した日)に、日常生活や労働に一定以上の制限があることが求められます。XPの場合、遮光対策の必要性による生活制限や、神経症状による機能障害の程度が評価されます。

3つ目は「保険料納付要件」ですが、20歳前に初診日がある場合はこの要件は問われません。ただし、20歳以降に初診日がある場合は、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの加入期間のうち、3分の2以上の期間について保険料が納付されている必要があります。

障害年金の等級はどう決まるの?

障害年金には1級、2級、3級(障害厚生年金のみ)という等級があり、日常生活や労働への影響の程度によって決定されます。

1級は「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」とされており、常時介護が必要な状態を指します。XPで重度の神経症状があり、歩行や食事、排泄などの日常生活動作に常に介助が必要な場合は、1級に該当する可能性があります。

2級は「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」とされています。XPで厳重な遮光対策が必要なため就労が困難な場合や、神経症状により歩行に著しい制限がある場合などは、2級に該当する可能性があります。

3級は障害厚生年金のみに設けられている等級で、「労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度」とされています。

申請する際の注意点は?

XPで障害年金を申請する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。

まず、医師による診断書の記載内容が非常に重要です。単に病名が記載されているだけでは不十分で、具体的にどのような症状があり、それが日常生活や労働にどの程度影響を与えているかを詳細に記載していただく必要があります。たとえば「外出時は必ず完全防備の遮光服と帽子が必要」「日中の外出は原則不可能」「歩行は10メートル程度で休憩が必要」といった具体的な記載があると、審査する側にも状況が伝わりやすくなります。

次に、病歴・就労状況等申立書の記載も重要です。これは患者さんご本人やご家族が記載する書類で、発症から現在までの経過や日常生活の状況を詳しく説明するものです。幼少期からの症状の変化、学校生活での困難、就労の状況、現在の生活における具体的な制限などを丁寧に記載することで、診断書の内容を補完し、実際の生活状況を審査担当者に理解してもらうことができます。

また、XPの場合は皮膚症状と神経症状が並行して進行することが多いため、どちらの症状についても漏れなく記載することが大切です。特に神経症状については、運動機能の低下だけでなく、誤嚥による食事の困難さや、聴力障害によるコミュニケーションの問題なども含めて、総合的に評価してもらう必要があります。

20歳前障害の場合の留意点

XPの多くは乳幼児期に発症するため、20歳前に初診日がある「20歳前障害」として障害基礎年金を申請することになります。

20歳前障害の場合、保険料納付要件は問われないため、その点ではハードルが低くなります。ただし、所得制限があることに注意が必要です。本人の所得が一定額を超えると、年金額の一部または全部が支給停止になります。また、20歳前障害で受給する障害基礎年金には、障害厚生年金のような3級がなく、1級または2級のみとなります。

申請のタイミングとしては、20歳の誕生日の前日以降に手続きができるようになります。ただし、症状の程度によっては20歳より前に障害の状態にあることが明らかな場合でも、実際の受給開始は20歳に達してからとなります。

障害年金の更新について

障害年金は一度受給が決定すれば一生もらえるというものではなく、多くの場合、定期的な診断書の提出による更新が必要になります。これは「障害状態確認届」と呼ばれるもので、通常1年から5年ごとに提出が求められます。

XPの場合、神経症状が進行性であることから、更新時には前回よりも症状が悪化している可能性もあります。そのため、更新用の診断書には現在の状態を正確に記載していただくことが重要です。症状の変化や新たに出現した症状があれば、必ず医師に伝えて診断書に反映してもらいましょう。

もし更新時に障害の程度が軽くなったと判断されて等級が下がったり、支給停止になったりすることに納得がいかない場合は、不服申立ての制度もあります。ただし、期限が定められていますので、決定通知を受け取ったら速やかに専門家に相談されることをお勧めします。

併給調整について知っておこう

XPの患者さんの中には、他の制度からも支援を受けている方がいらっしゃるかもしれません。たとえば特別児童扶養手当や障害児福祉手当などです。

これらの手当と障害年金は、基本的に併給可能です。ただし、20歳前障害として障害基礎年金を受給している場合、20歳以降は特別障害者手当の受給資格を確認する必要があります。また、他の公的年金(老齢年金など)との調整ルールもありますので、複数の制度を利用される場合は注意が必要です。

障害年金を受給することで、医療費助成や税制上の優遇措置なども受けられる可能性があります。XPは医療費の負担も大きい疾患ですので、利用できる制度は積極的に活用していくことが大切です。

皮膚がんについて

「皮膚がんを何度も手術しているのですが、それで障害年金はもらえますか?」というご質問をいただくことがあります。皮膚がんの治療歴は重要な情報ですが、それだけで障害年金の対象となるかは、がんの進行度や治療による生活への影響によって異なります。がんそのものが進行していて日常生活に支障がある場合は、がんの診断書を用いて申請することも検討する必要があります。

また、「遮光対策のために仕事ができないのですが、これは障害と認められますか?」というご質問もいただきます。XPでは厳重な遮光が生涯必要となるため、一般的な就労が困難になることは十分に理解されています。ただし、単に「遮光が必要」というだけでなく、具体的にどの程度の制限があり、それによってどのような生活上の困難が生じているかを詳しく説明することが重要です。

最後に

XPは非常に稀な疾患で、一般的な認知度も高くありません。そのため、障害年金の申請においても、審査担当者にXPの特性や患者さんの実際の生活状況を正確に理解してもらうことが特に重要になります。

当事務所では、診断書の記載内容の確認から、病歴・就労状況等申立書の作成支援、必要書類の取得代行まで、トータルでサポートさせていただきます。

「自分のケースは障害年金の対象になるのだろうか」「どのように申請を進めればよいのかわからない」といった不安や疑問をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。初回面談は無料で実施しておりますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

XPと診断されて不安な日々を過ごされている患者さんやご家族の皆様に寄り添い、少しでも安心して生活していただけるよう、私たちがお手伝いさせていただきます。無料相談はコチラ!

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