被保険者記録照会回答票ってどうやって読むの?【専門の社労士が徹底解説!】
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こんにちは!
グロースリンク社会保険労務士法人の土江です。
「年金事務所でもらった書類、数字や記号ばかりで全然読み方がわからない…」
障害年金の申請を進める中で、こんなお悩みを抱えていませんか?被保険者記録照会回答票は、あなたの年金加入履歴が詰まった重要な書類です。しかし、初めて目にする方にとっては、どこを見ればいいのか、何が書いてあるのか、さっぱりわからないというのが正直なところでしょう。
当事務所では、障害年金の申請サポートを数多く手がけてきましたが、この被保険者記録照会回答票の読み方でつまずく方が本当に多くいらっしゃいます。実は、この書類をきちんと理解することが、障害年金の申請をスムーズに進める第一歩なのです。
今回は、被保険者記録照会回答票とは何なのか、どうやって入手するのか、そしてどのように読み解けばいいのかを、社労士の視点から分かりやすく解説していきます。
被保険者記録照会回答票とは?
被保険者記録照会回答票とは、日本年金機構が発行する、あなたの年金加入履歴が記載された公的な書類です。簡単に言えば、「あなたがいつからいつまで、どの年金制度に加入していたか」が一目でわかる、いわば年金加入の履歴書のようなものです。
この書類には、国民年金や厚生年金への加入期間、勤務していた会社名、資格取得年月日や資格喪失年月日などが詳しく記載されています。障害年金の申請においては、初診日がどの年金制度に加入していた時期なのかを確認するために、この被保険者記録照会回答票が非常に重要な役割を果たすのです。
なぜ障害年金の申請に必要なのか
障害年金を申請する際には、「初診日」を証明することが最も重要なポイントの一つです。初診日とは、障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診療を受けた日のことを指します。
この初診日がいつだったのかによって、障害基礎年金なのか障害厚生年金なのか、受給できる年金の種類が決まります。また、初診日の前日時点で保険料をきちんと納めていたかどうかという「保険料納付要件」も、初診日を基準に判断されます。
つまり、初診日がいつで、その時どの年金制度に加入していたのかを明らかにするために、被保険者記録照会回答票が必要になるというわけです。この書類があれば、あなたの年金加入状況を客観的に証明することができます。
被保険者記録照会回答票の入手方法
被保険者記録照会回答票は、いくつかの方法で入手することができます。ご自身の状況に合わせて、最も便利な方法を選んでください。
まず一つ目は、年金事務所の窓口で直接受け取る方法です。お近くの年金事務所に年金手帳や基礎年金番号が分かるもの、そして運転免許証などの身分証明書を持参すれば、その場で発行してもらえます。窓口では厚生年金適用調査課などの担当窓口に案内されることが多いので、「被保険者記録照会回答票が欲しい」と伝えてください。
二つ目は、電話で郵送依頼する方法です。年金事務所や「ねんきん定期便専用ダイヤル」に電話をして、被保険者記録照会回答票の郵送を依頼することができます。この場合も、基礎年金番号を手元に用意しておく必要があります。電話では、名前、住所、生年月日、基礎年金番号を伝えれば、後日自宅に郵送してもらえます。日本全国どこの年金事務所でも対応してもらえるので、窓口に行く時間がない方には便利な方法です。
三つ目は、ねんきんネットを利用する方法です。ねんきんネットに登録すれば、インターネット上で電子版の被保険者記録照会回答票をPDFファイルとして閲覧・ダウンロードすることができます。マイナンバーカードを使えば登録も比較的簡単ですし、いつでも好きな時に取得できるのが大きなメリットです。ただし、初めて利用する場合は事前登録が必要になりますので、時間に余裕を持って準備することをおすすめします。
被保険者記録照会回答票の見方を徹底解説
それでは、実際に被保険者記録照会回答票をどのように読めばいいのか、具体的に解説していきます。この書類には様々な情報が記載されていますが、障害年金の申請で特に重要なポイントを中心にお伝えします。
お勤め先の名称または共済組合等
まず注目していただきたいのが、「お勤め先の名称又は共済組合等」という欄です。ここには、あなたが厚生年金に加入していた期間中に勤務していた会社の名称が記載されています。例えば「株式会社○○」「△△有限会社」といった形で、過去に勤めていた会社が時系列で並んでいます。
この情報は、初診日当時にどこで働いていたのかを確認する際に非常に役立ちます。特に、複数の会社を転職している場合や、働き始めた時期と初診日の時期がはっきりしない場合には、この欄を見ることで「あの会社にいた時期に初めて病院に行ったな」ということを思い出すきっかけになります。
資格取得年月日
次に重要なのが「資格取得年月日」という欄です。これは、厚生年金の資格を取得した日、つまりその会社に入社した日を意味しています。会社に就職して社会保険に加入すると、その日が資格取得年月日として記録されます。
例えば、平成25年4月1日に入社した場合、資格取得年月日も平成25年4月1日と記載されます。この日付を見れば、いつからその会社で働き始めたのかが正確にわかります。初診日がいつだったのかを特定する際に、「確かあの会社に入って半年くらい経った頃に体調を崩したな」といった記憶と照らし合わせることで、初診日の時期を絞り込むことができます。
資格喪失年月日
「資格喪失年月日」は、厚生年金の資格を喪失した日を示しています。ただし、ここで注意していただきたいのは、資格喪失年月日の前日が実際の退社日になるという点です。これは年金制度上の決まりで、退職日の翌日が資格喪失日として記録されるためです。
例えば、平成27年3月31日に退職した場合、資格喪失年月日は平成27年4月1日と記載されます。ですから、資格喪失年月日から1日引いた日が、実際にその会社を退職した日ということになります。この仕組みを理解していないと、「退職日がずれている?」と混乱してしまうことがあるので、覚えておいてください。
加入月数の数え方
被保険者記録照会回答票には、各期間の加入月数も記載されています。この加入月数は、資格取得月から資格喪失月の前月までを数えた月数です。
例えば、平成25年4月1日に資格を取得して、平成27年4月1日に資格を喪失した場合、加入月数は平成25年4月から平成27年3月までの24ヶ月、つまり2年間となります。この計算方法も、保険料納付要件を確認する際に重要になってきますので、しっかりと理解しておきましょう。
国民年金の場合も同様で、20歳の誕生日の前日が資格取得年月日となり、60歳の誕生日の前日が資格喪失年月日となります。
納付状況の記号について理解する
被保険者記録照会回答票を見ていると、様々な記号が並んでいることに気づかれるでしょう。これらの記号は、それぞれの月の保険料納付状況を表しています。この記号の意味を理解することで、ご自身の年金加入状況をより正確に把握することができます。
主な記号とその意味
| 通知書記載の記号 | 通知書記載の説明 | 通知書記載の説明の内容 |
| * | 未納 | 未納 |
| A | 納付済 | 定額保険料納付済 |
| B | 定額保険料及び付加保険料納付済 | |
| H | 中国残留邦人等の特例措置にかかる追納保険料納付済 | |
| ¥ | コンビニエンスストア等での保険料納付済 | |
| D | 産前産後免除 | 産前産後免除 |
| E | 産前産後免除及び付加保険料納付済 | |
| L | 全額免除 | 中国在留邦人等の特例措置にかかる免除 |
| R | みなし免除 | |
| Y | 法定免除 | |
| Z | 申請免除 | |
| ア | 半額、3/4、1/4免除(未納) | 半額免除期間にかかる未納 |
| チ | 4分の3免除期間にかかる未納 | |
| ヒ | 4分の1免除期間にかかる未納 | |
| イ |
半額、3/4、1/4免除(納付済) |
半額免除期間にかかる納付 |
| ツ | 4分の1免除期間にかかる納付 | |
| フ | 4分の3免除期間にかかる納付 | |
| サ | 学生納付特例 | 学生納付特例 |
| セ | 納付猶予 | 納付猶予 |
| + | 第3号納付 | 第3号納付 |
| ー | 納付期限2年経過 | 第3号未納、または時効により保険料が納付できなくなった期間 |
| / | 厚生年金保険・共済組合に加入していた期間又は20歳前の期間 | 国民年金に加入していない期間 |
まず、最も基本的な記号からご説明します。「/」という記号は、厚生年金保険や共済組合に加入していた期間、または20歳前の期間を示しています。会社に勤めていた時期は、この記号で表示されることが多いでしょう。
「*」という記号は未納を意味します。保険料が納付されていない月にこの記号が表示されます。障害年金の保険料納付要件を確認する際には、この記号がどこにあるかが重要なポイントになります。
「A」という記号は、定額保険料が納付済みであることを示しています。国民年金の保険料をきちんと納めていた月には、この記号が付きます。
「B」という記号は、定額保険料及び付加保険料が納付済みの状態です。付加保険料とは、国民年金に上乗せして納付できる保険料のことで、将来の年金額を増やすことができる制度です。
「+」という記号は、第3号被保険者期間のうち保険料納付済期間に算入される月を表しています。配偶者の扶養に入っていた時期がある方は、この記号を見かけることがあるでしょう。
免除に関する記号
保険料の免除を受けていた場合にも、様々な記号が使われます。
「Y」という記号は法定免除を示しています。障害年金を受給している方や生活保護を受けている方などが対象となる免除です。
「Z」という記号は申請免除です。経済的な理由などで保険料の納付が困難な場合に、申請によって認められる免除のことを指します。
「D」という記号は産前産後免除を表しています。出産前後の一定期間、保険料が免除される制度です。
半額免除や4分の1免除、4分の3免除といった部分免除の場合は、さらに細かい記号が使われます。「イ」は半額免除期間にかかる納付、「ア」は半額免除期間にかかる未納を意味します。同様に、「ツ」は4分の1免除期間にかかる納付、「チ」は4分の3免除期間にかかる未納、「フ」は4分の3免除期間にかかる納付、「ヒ」は4分の1免除期間にかかる未納となっています。
特例に関する記号
その他の特例的な記号としては、「サ」が学生納付特例、「セ」が納付猶予を表しています。学生納付特例は、学生の方が在学中に保険料の納付を猶予される制度です。納付猶予は、50歳未満の方で所得が一定額以下の場合に認められる制度です。
「-」という記号は、国民年金に加入していない期間を示しています。また、第3号被保険者期間のうち保険料納付済期間に算入されない月や、時効により保険料が納付できなくなった期間もこの記号で表示されることがあります。
これらの記号を理解することで、ご自身がどの期間に保険料を納めていたのか、免除を受けていたのか、未納があったのかを正確に把握することができます。特に障害年金の保険料納付要件を確認する際には、これらの記号の意味を知っておくことが非常に重要です。
障害年金申請で特に注意すべきポイント
被保険者記録照会回答票を読む際に、障害年金申請の観点から特に注意していただきたいポイントがあります。
一つ目は、初診日が国民年金期間なのか厚生年金期間なのかを確認することです。初診日がどちらの期間に該当するかによって、受給できる障害年金の種類が変わってきます。国民年金期間であれば障害基礎年金、厚生年金期間であれば障害厚生年金の対象となります。障害厚生年金の方が、配偶者加給年金が付く可能性があるなど、有利な面もあります。
二つ目は、初診日の前日時点での保険料納付状況を確認することです。被保険者記録照会回答票を見れば、初診日の前日時点で年金制度に加入していたかどうか、また未納期間がないかどうかを確認することができます。保険料納付要件を満たしていないと、残念ながら障害年金を受給することはできません。もし未納期間がある場合でも、初診日の前々月までの直近1年間に未納がなければ要件を満たすこともありますので、詳しく確認することが大切です。
三つ目は、複数の会社を転職している場合は時系列を整理することです。転職を繰り返している方の場合、被保険者記録照会回答票には複数の会社名が並んでいます。初診日がどの会社に勤務していた時期なのかを正確に把握するために、時系列をしっかりと整理しておきましょう。時には、会社名だけでは記憶があいまいなこともありますが、資格取得年月日や資格喪失年月日を見ながら、当時の生活状況や出来事を思い出していくことで、初診日の時期を特定しやすくなります。
初診日の証明が難しい場合の活用法
初診日の証明が難しいケースでは、被保険者記録照会回答票が強力な補助資料となります。
例えば、初診の医療機関がすでに閉院していたり、カルテが廃棄されていたりして「受診状況等証明書」が取得できない場合があります。そのような時でも、被保険者記録照会回答票と他の資料を組み合わせることで、初診日を合理的に推定できる場合があります。
具体的には、被保険者記録照会回答票で「平成○年△月から平成□年×月まで継続して厚生年金に加入していた」ことが確認でき、その期間中にずっと同じ年金制度に加入していて保険料の未納もない場合、申立てた初診日が認められやすくなります。さらに、診察券やお薬手帳、医療機関の領収書など、他の参考資料と併せて提出することで、初診日の証明力を高めることができるのです。
また、第三者証明を取得する際にも、被保険者記録照会回答票は非常に有効です。例えば、当時の職場の上司や同僚に「○○会社に勤務していた△年頃に体調を崩して通院していた」という証言をしてもらう場合、被保険者記録照会回答票でその会社に在籍していた事実を客観的に証明できます。これにより、第三者証明の信憑性が大きく高まります。
まとめ
被保険者記録照会回答票は、一見すると数字や記号ばかりで難しく感じるかもしれませんが、読み方のポイントを押さえれば、あなたの年金加入履歴を正確に把握できる非常に便利な書類です。
障害年金の申請においては、初診日の特定と証明が最も重要なステップの一つですから、被保険者記録照会回答票をしっかりと理解し、活用することが受給への近道となります。
ただし、被保険者記録照会回答票の内容を正確に読み解き、それを障害年金申請に適切に活用するには、専門的な知識と経験が必要になる場合も少なくありません。特に、初診日の証明が難しいケースや、複雑な職歴がある場合などは、ご自身だけで進めるのは困難を伴うこともあるでしょう。
もしあなたが被保険者記録照会回答票の見方で迷っていたり、初診日の証明で不安を感じていたりする場合は、一人で悩まずに当事務所にご相談ください。私たち障害年金専門の社労士が、あなたの状況を丁寧にお伺いし、被保険者記録照会回答票の読み解き方から初診日の特定、そして障害年金受給までの道筋を、わかりやすくご説明させていただきます。
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