キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)について解説します!

 

こんにちは!

グロースリンク社会保険労務士法人の城間です。今回は、事業主様に向けてのコラムです!

「障害のある従業員を正社員として雇用したいけど、何か支援制度はないの?」

「キャリアアップ助成金って聞いたことあるけど、障害者雇用でも使えるの?」

障害のある方の雇用を積極的に進めたいと考えていても、企業側の経済的な負担は決して小さくありません。障害者雇用率も年々上昇しており(2026年7月に2.7%へ引き上げられます。)、そんな時に活用できるのが、キャリアアップ助成金の「障害者正社員化コース」です。

(法定雇用率について:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html

当事務所では、障害者雇用を検討されている企業様から、助成金に関するご相談が数多く寄せられています。結論から申し上げますと、この制度を適切に活用することで、障害のある方の雇用促進と企業の経済的負担軽減の両立が可能になります。

しかし、「どんな条件を満たせば受給できるの?」「手続きは複雑じゃないの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)について、社労士の視点から分かりやすく解説します。

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)とは?

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)とは、障害のある有期雇用労働者などを正規雇用労働者へ転換した事業主を支援する制度です。この助成金は、障害のある方がより安定した雇用形態で働けるようにすることで、職場への定着を促進することを目的としています。

通常のキャリアアップ助成金には正社員化コースをはじめとした6つのコースがありますが、この障害者正社員化コースは、障害のある方の雇用に特化した制度となっており、通常の正社員化コースよりも手厚い支援が受けられる点が大きな特徴です。

企業にとっては、障害のある方を正社員として雇用することで、ダイバーシティ経営を推進でき、職場全体のモチベーション向上にもつながる可能性があります。一方で、障害のある方にとっては、より安定した雇用環境が得られることで、長期的なキャリア形成が可能になります。

対象となる事業主の要件

この助成金を受給するためには、事業主側がいくつかの要件を満たす必要があります。主な要件としては、雇用する有期雇用労働者を正規雇用労働者、もしくは無期雇用労働者に転換すること、あるいは無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換することが求められます。

また、対象労働者を支給対象期間中に継続して雇用し、当該労働者に対して賃金を支給していることも必要です。具体的には、支給対象期の第1期の場合は転換後、当該支給対象期の初日から6か月以上、第2期の場合は当該支給対象期の初日から6か月以上の雇用継続が求められます。

さらに重要なのは、転換後6か月間の賃金を、転換前の6か月間の賃金より減額させていないことです。せっかく正社員に転換しても、賃金が下がってしまっては本末転倒ですので、この点は特に注意が必要です。(3%の昇給が必要。)第2期にかかる支給申請においては、対象労働者の賃金を第1期と比較して合理的な理由なく引き下げていないことも求められます。

加えて、転換した日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、雇用保険被保険者を事業主の都合により離職させていないこと、支給申請時点において支給の対象となる労働者を事業主の都合で離職させていないことも要件となります。

対象となる労働者の要件

助成金の対象となる労働者にも、いくつかの要件があります。まず、転換を行った日の時点で、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難病患者、あるいは脳の機能的損傷に基づく精神障害である高次脳機能障害であると診断された方のいずれかに該当する必要があります。

ただし、就労継続支援A型事業における利用者は対象外となりますので、この点はご注意ください。

また、支給対象事業主に、賃金の額または計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則などの適用を通算6か月以上受けて雇用される有期雇用労働者、もしくは無期雇用労働者であることが必要です。無期雇用労働者の場合は、昼間学生であった期間を除き、障害者トライアル雇用などの期間以上の雇用期間が求められます。

なお、転換を行った適用事業所の事業主、もしくは取締役の3親等以内の親族は対象外となります。

助成金の支給額について

この助成金で最も気になるのは、やはり支給額ではないでしょうか。支給額は、対象者の障害の種類や転換の内容によって異なります。

重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者の方を有期雇用から正規雇用へ転換した場合、中小企業では120万円が支給されます。有期雇用から無期雇用への転換、または無期雇用から正規雇用への転換の場合は、それぞれ60万円となります。

重度以外の身体障害者、重度以外の知的障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された方の場合は、有期雇用から正規雇用への転換で90万円、有期雇用から無期雇用への転換、または無期雇用から正規雇用への転換でそれぞれ45万円が支給されます。

なお、大企業の場合はこれらの金額から25%減額された額となります。

支給対象期間は1年間で、最初の6か月を第1期、次の6か月が第2期として、2回に分けて支給される仕組みになっています。たとえば、重度身体障害者の方を有期雇用から正規雇用へ転換した場合、中小企業では60万円ずつ2回に分けて、合計120万円が支給されることになります。

申請の流れと必要な手続き

助成金の申請には、いくつかのステップがあります。まず、取り組みを開始する前日までに、キャリアアップ計画を作成し、管轄の労働局に提出する必要があります。この計画書の提出を忘れてしまうと、せっかくの取り組みも助成金の対象外となってしまいますので、必ず事前に提出しましょう。

次に、実際に正社員などへの転換を実施します。この際、対象労働者の同意を得ることが必須となりますので、しっかりと説明を行い、同意を得る手続きを踏んでください。

転換後は、対象となる労働者に6か月間賃金を支払います。繰り返しになりますが、転換前と比較して賃金を減額せずに支払うことが必要です。

そして、転換後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請を行います。この申請期限を過ぎてしまうと受給できなくなりますので、余裕を持って準備を進めることが大切です。

最後に、支給審査に通過したのち、助成金が支給されるという流れになります。

申請に必要な書類について

申請時には、さまざまな書類の提出が必要となります。主な申請書類としては、キャリアアップ助成金支給申請書、障害者正社員化コース内訳、障害者正社員化コース対象労働者詳細、支給要件確認申立書、そして未登録または振り込み口座変更の場合には支払方法・受取人住所届が必要です。

添付書類としては、管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書の写し(変更届を提出している場合は当該変更届を含む)、転換前後の労働協約または就業規則などの写し、対象労働者の転換前後の雇用契約書または労働条件通知書などの写し、対象労働者の転換前後の賃金台帳などの写し、対象労働者の転換前後の出勤簿などの写しが必要となります。

また、代理人の場合には委任状の原本を、中小企業事業主の場合には事業所確認票もしくは登記事項証明書などの提出が追加で必要になります。

これらの書類は多岐にわたり、記載内容も複雑ですので、専門家に相談することをおすすめします。

活用する際のポイント

この助成金を効果的に活用するためには、いくつかのポイントがあります。

まず何よりも重要なのは、キャリアアップ計画書を取り組み開始前に必ず提出することです。事後的な提出は認められませんので、計画的に準備を進めましょう。

また、正規雇用労働者の定義についても注意が必要です。同一の事業所内の正規雇用労働者に適用される就業規則が適用されている労働者であることはもちろん、賞与または退職金の制度、かつ昇給が適用されている者に限られます。形式的に正社員としても、これらの制度が適用されていなければ助成金の対象外となってしまいますので、就業規則の整備も含めて検討が必要です。

賃金についても、転換前後で減額しないことはもちろん、第1期と第2期の間でも合理的な理由なく引き下げないよう注意してください。

そして、雇用保険被保険者の離職についても要件がありますので、転換前後の期間における離職者の有無についても確認しておく必要があります。

最後に

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)は、障害のある方の雇用促進と企業の経済的負担軽減を両立できる、非常に有効な制度です。

しかし、要件が複雑で、必要な書類も多岐にわたるため、申請に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。もしあなたが障害者雇用を検討されていて、この助成金の活用をお考えでしたら、ぜひ当事務所にご相談ください。あなたの企業の状況を丁寧にヒアリングし、助成金受給の可能性や手続きの流れについて、分かりやすくご説明させていただきます。

「うちの会社でも使えるかな…」

そう思われたら、まずはお気軽にお問い合わせください。専門家として、あなたの企業と障害のある方の双方にとってより良い雇用環境づくりのため、全力でサポートさせていただきます。

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