傷病手当金と障害年金は同時にもらえる?調整のルールと注意点を社労士が解説!

社会保険労務士 土江


こんにちは!

グロースリンク社会保険労務士法人の土江です。

「病気で休職して傷病手当金をもらっているけれど、障害年金も申請できる?」「両方もらえるの?」——名古屋・岡崎・豊田エリアで、こうしたご相談をよくいただきます。結論からお伝えすると、傷病手当金と障害年金は、条件によっては同時に受け取れます。ただし「同じ病気」で重なる場合は「併給調整」というルールで、傷病手当金のほうが調整されます。この記事では、2つの制度の調整ルールと、特に注意したい「遡及(さかのぼり)決定による返還」について解説します。

この記事の要点まとめ

  • 同じ傷病で障害厚生年金と傷病手当金が重なると、傷病手当金が調整される(障害年金が優先)
  • 調整は「日額」を比べて行う(年金のほうが高ければ傷病手当金は停止、低ければ差額支給)
  • 障害基礎年金のみ(初診日が国民年金)の場合は、同じ傷病でも調整なし=両方もらえる
  • 別の傷病なら、調整なしで両方もらえる
  • 【要注意】障害年金がさかのぼって決定すると、過去の傷病手当金の返還を求められることがある

そもそも、傷病手当金と障害年金とは

まず、2つの制度をおさらいします。

  • 傷病手当金:健康保険の制度。病気やケガで働けないとき、給与のおおむね3分の2を、最長1年6か月受け取れる
  • 障害年金:公的年金の制度。病気やケガで生活や仕事に支障が出ているとき、継続して受け取れる

どちらも「病気やケガで働けないときの収入を支える」制度なので、両方の受給権が発生することがあります。そのときに関わるのが「併給調整」です。

 

同じ傷病の場合:傷病手当金が調整される

うつ病で休職して傷病手当金をもらい、その同じうつ病で障害年金を受給する——このように同じ傷病で両方が重なる場合は、併給調整が行われます。

ルールはシンプルです。

  • 障害年金が優先して支給される(障害年金は減らない)
  • 傷病手当金のほうが調整される(停止または減額)

調整は「日額」で比べます

具体的には、1日あたりの金額(日額)を比べて調整します。障害年金の日額は「年金額 ÷ 360」で計算します。

比較 傷病手当金の扱い
年金の日額 ≧ 傷病手当金の日額 傷病手当金は支給停止
年金の日額 < 傷病手当金の日額 差額のみ傷病手当金として支給

ポイントは、調整されても、受け取る合計額はほぼ同じという点です。傷病手当金が減った分、障害年金が入るので、経済的に大きく損をするわけではありません。

 

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【重要】調整されない2つのケース

同じ傷病でも、次の場合は調整されず、両方を全額受け取れます。

ケース①:障害基礎年金のみを受給する場合

初診日に国民年金に加入していて、障害基礎年金(1級・2級)のみを受給している場合は、同じ傷病であっても傷病手当金との調整は行われません。

これは、健康保険法で調整の対象とされているのが原則「障害厚生年金」だからです。障害基礎年金だけの方は、傷病手当金と両方を受け取れます。

ケース②:別の傷病による場合

たとえば、うつ病で傷病手当金をもらい、まったく別の病気(人工透析など)で障害年金を受給する——このように原因となる傷病が異なる場合は、調整されず両方を全額受け取れます。

【最重要の注意点】遡及決定による「返還」に気をつけて

ここが、実務で最も注意が必要なポイントです。

障害年金は、申請が認められると過去にさかのぼって支給される(遡及)ことがあります。このとき、さかのぼった期間に、すでに傷病手当金を受け取っていたと、期間が重なってしまいます。

同一傷病で障害厚生年金が遡及決定した場合、その重なった期間については、あとから傷病手当金の返還を求められることがあります。「障害年金がまとまって入ったと思ったら、傷病手当金を返すことになった」というケースです。

そのため、傷病手当金を受けながら障害年金を申請する方は、障害年金の受給(特に遡及)が決まったら、早めに協会けんぽや健康保険組合に連絡することが大切です。あらかじめ重なりを想定しておけば、慌てずに対応できます。

 

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まとめ

  • 同じ傷病で障害厚生年金と傷病手当金が重なると、傷病手当金が調整(障害年金が優先)
  • 調整は日額で比較。年金が高ければ傷病手当金停止、低ければ差額支給
  • 調整後も合計額はほぼ同じで、大きな損はない
  • 障害基礎年金のみ・別傷病なら調整なしで両方もらえる
  • 【要注意】障害年金の遡及決定で、過去の傷病手当金の返還が生じることがある

「傷病手当金をもらいながら障害年金を申請したい」「調整や返還が心配」という方は、ぜひご相談ください。傷病手当金から障害年金への切り替えのタイミングも含めて、整理のお手伝いをします。

名古屋・岡崎・豊田を中心に、グロースリンク社会保険労務士法人では障害年金の無料相談を承っております。電話・LINE・オンラインでもお気軽にご相談ください。

よくある質問

Q1. 傷病手当金をもらいながら、障害年金を申請できますか?
A. できます。申請自体に問題はありません。ただし同じ傷病で障害厚生年金と重なる場合は、傷病手当金が調整されます。

Q2. 両方もらうと、合計で損をしませんか?
A. 原則として大きな損はありません。障害年金が優先支給され、傷病手当金はその差額分に調整されるため、受け取る合計額はほぼ同じになります。

Q3. 障害基礎年金だけの場合も、傷病手当金は減りますか?
A. 減りません。障害基礎年金のみ(初診日が国民年金)の場合は、同じ傷病でも傷病手当金との調整は行われず、両方を全額受け取れます。

Q4. 障害年金がさかのぼって決まりました。傷病手当金はどうなりますか?
A. さかのぼった期間に傷病手当金を受けていた場合、同一傷病で障害厚生年金なら、その分の返還を求められることがあります。早めに協会けんぽ・健保組合にご連絡ください。

参考文献

  1. 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/
  2. 日本年金機構「障害年金」
    https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/index.html
  3. 全国健康保険協会「傷病手当金と障害厚生年金等との調整」
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/r151/

執筆者紹介

社会保険労務士 土江啓太郎

土江 啓太郎(つちえ けいたろう)

社会保険労務士/グロースリンク社会保険労務士法人 代表

皆様、こんにちは。グロースリンク社会保険労務士法人の代表、土江 啓太郎です。私たちの事務所は、”幸せ”と”利益”を両立する「いい会社」を増やすことを経営理念として、労務管理の専門知識をもって、皆様の職場での様々な課題に対応しております。特に、障害年金の請求をお考えの皆様には、適切な手続きをサポートし、権利が確実に守られるよう尽力しています。私たちのミッションは、職場の健全な発展をサポートし、労働者の皆様が安心して働ける環境を提供することです。長年の経験と専門知識を活かして、障害をお持ちの方々が公正な支援を受けられるように助言及びサポートを提供させて頂いています。これからも、皆様の期待に応え、社会全体の福祉向上に貢献することを目指していきます。障害年金についてご不明な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。共に、より良い未来を築いていきましょう。

※本記事は一般的な情報です。併給調整・返還の具体的な取り扱いは、全国健康保険協会(または健康保険組合)・日本年金機構にご確認ください。


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