肝硬変・肝がんで障害年金はもらえる?肝疾患の認定基準をわかりやすく解説

グロースリンク社会保険労務士法人 土江

こんにちは。

グロースリンク社会保険労務士法人の土江です。

「肝硬変が進行して、仕事も日常生活もつらくなってきた」「肝がんの治療を続けているが、障害年金の対象になるのだろうか」——。名古屋・岡崎・豊田で障害年金のご相談をお受けしていると、肝臓の病気を抱えた方からこうしたお問い合わせをいただくことがあります。

結論からお伝えすると、肝硬変や肝がんなどの肝疾患も、障害年金の対象になり得ます。ただし、肝臓の障害は「検査数値」と「症状」の両方で細かく判定されるため、ご自身が該当するかどうかの見極めが難しい分野でもあります。

この記事では、肝疾患で障害年金を受けるための認定基準を、できるだけわかりやすく解説します。

この記事の要点まとめ

  • 肝硬変・肝がんなどの肝疾患も障害年金の対象になり得る
  • 検査数値(アルブミン・ビリルビン・プロトロンビン時間など)と症状(腹水・脳症など)の両方で判定される
  • 重さに応じて1級・2級・3級に分かれる
  • 検査の異常は一定の間隔をあけて複数回確認されるのが原則
  • B型・C型肝炎から肝硬変・肝がんへ進行したケースも対象になる

肝疾患は障害年金の対象になる?

はい。障害年金の認定基準には「肝疾患による障害」という区分があり、肝硬変、肝がん(悪性新生物による肝障害)、慢性肝炎などが対象となっています。

特に、B型・C型肝炎ウイルスの持続感染から慢性肝炎・肝硬変・肝がんへと進行していくケースは典型的で、こうした経過をたどった方も認定の対象になります。

どのように重さを判定するの?——数値と症状の組み合わせ

肝臓の障害は、外から見えにくいぶん、検査データ(客観的な数値)と、実際の症状や日常生活の制限を組み合わせて判定されます。

主に見られる検査数値

  • 血清アルブミン値(栄養状態・肝機能の指標)
  • 血清総ビリルビン値(黄疸の指標)
  • プロトロンビン時間(血液の固まりやすさ=肝臓の合成能力の指標)
  • 血小板数、血中アンモニア濃度 など

主に見られる症状・所見

  • 腹水(おなかに水がたまる)の程度
  • 肝性脳症(意識障害など)の程度
  • 強い倦怠感・易疲労感、嘔吐・嘔気などの頻度

これらを点数化する「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類」という評価方法が用いられ、数値や症状が重いほど点数が高くなります。この合計点数と、検査成績・一般状態を合わせて等級が決まります。

等級の目安(1級・2級・3級)

肝疾患による障害は、おおむね次のように区分されます。

  • 1級:肝臓の機能の障害により、日常生活活動がほとんどできない状態
  • 2級:肝臓の機能の障害により、日常生活活動が極度に制限される状態
  • 3級:肝臓の機能の障害により、日常生活活動が著しく制限される状態(障害厚生年金のみ)

なお、3級は厚生年金に加入していた方(会社員・公務員など)が対象で、国民年金(自営業・専業主婦(夫)・学生など)の方には3級がない点に注意が必要です。

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見落とされやすい重要ポイント

①検査数値は「複数回」確認されるのが原則

肝臓の数値は体調により変動するため、一時点の悪い数値だけでは判定されません。原則として、一定の間隔(おおむね90日以上)をあけて複数回、重い状態が続いていることが確認されます。悪化したときの検査結果を記録として残しておくことが大切です。

②「数値は基準ぎりぎり」でも症状次第で該当することがある

検査数値だけでなく、腹水や倦怠感といった実際の症状・日常生活の制限も評価の対象です。数値が基準に少し届かない場合でも、症状を正確に診断書に反映させることで該当につながることがあります。

③肝がんは「がん」としての認定の視点も

肝がんの場合、肝機能の障害としてだけでなく、全身衰弱や治療の副作用による日常生活の制限といった、悪性新生物(がん)としての観点から認定されることもあります。どちらの切り口で請求するかで結果が変わることもあるため、見極めが重要です。

受給するための3つの条件

肝疾患に限らず、障害年金を受けるには次の3つをすべて満たす必要があります。

①初診日に年金制度に加入していること

その肝疾患で初めて医療機関を受診した日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していることが必要です。

②保険料の納付要件を満たしていること

初診日の前日時点で、一定以上の保険料納付(または免除)の実績が必要です。

③障害の状態が等級基準を満たしていること

診断書と検査データをもとに、上で述べた基準に該当するかどうかが審査されます。

よくある質問

Q. 肝炎の段階でも対象になりますか?

慢性肝炎の段階でも、検査数値や症状が基準に該当すれば対象になり得ます。ただし、肝硬変・肝がんへ進行したケースのほうが該当しやすい傾向があります。ご自身の状態での見込みは一度ご相談ください。

Q. アルコール性の肝硬変でも対象ですか?

原因がアルコールであっても、肝臓の障害の程度が基準に該当すれば対象になり得ます。原因そのものによって一律に対象外となるわけではありません。

Q. 肝移植を受けた場合は?

肝移植を受けた場合にも障害年金の対象となる取り扱いがあります。移植後の経過により評価が変わるため、専門家にご確認ください。

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まとめ

肝硬変・肝がんなどの肝疾患は、検査数値と症状の両方から、1級・2級・3級に区分して判定されます。数値は複数回の確認が原則で、症状の反映しだいで結果が変わることもある、見極めの難しい分野です。

「自分の数値や症状で対象になるのか知りたい」「診断書をどう整えればいいか不安」——そう感じたら、まずはお気軽にご相談ください。グロースリンク社会保険労務士法人では、名古屋・岡崎・豊田を中心に障害年金の無料相談を実施しております。電話・LINE・オンラインでも対応しています。

参考文献

  1. 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(第12節 肝疾患による障害)」 https://www.mhlw.go.jp/
  2. 日本年金機構「障害年金(肝疾患)の請求に必要な診断書・検査成績」 https://www.nenkin.go.jp/
  3. 日本年金機構「障害基礎年金・障害厚生年金を受けられるとき」 https://www.nenkin.go.jp/

執筆者紹介

土江 啓太郎

土江 啓太郎(つちえ けいたろう)

社会保険労務士/グロースリンク社会保険労務士法人 代表

名古屋・岡崎・豊田を中心に、障害年金の申請サポートに取り組んでいます。「制度が複雑で、どこから手をつけていいかわからない」という方に、できるだけやさしい言葉でお伝えすることを大切にしています。肝疾患のように検査数値と症状の両方が絡むケースは判断が難しいので、迷ったらお気軽にご相談ください。

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