ペースメーカーで障害年金はもらえるの?【専門の社労士が徹底解説!】

こんにちは!

グロースリンク社会保険労務士法人の土江です。

「ペースメーカーを装着することになったけど、障害年金はもらえるの?」「手術は成功したものの、今後の生活や仕事のことを考えると不安で…」このようなご相談を多くの方からお受けしています。

ペースメーカーを装着された方の中には、「見た目は元気そうだから障害年金なんて関係ない」と思われている方もいらっしゃいますが、実はそうではありません。国の制度では、ペースメーカーを装着していることそのものが障害として認められる場合があるのです。

今回は、ペースメーカーを装着された方の障害年金について、専門の社労士として詳しく解説していきます。最後までお読みいただければ、きっとあなたの疑問や不安が解消されるはずです。

そもそも障害年金とは?

障害年金は、病気やけがによって日常生活や働くことに支障が出てしまった方に支給される年金です。多くの方が「障害年金は高齢者の年金とは違う特別なもの」と思われがちですが、実は私たちが普段納めている年金保険料を財源とした、公的な保障制度の一つなのです。

初診日(最初に医師の診察を受けた日)に加入していた年金制度によって、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類に分かれます。会社員や公務員の方は障害厚生年金、自営業や専業主婦の方は障害基礎年金の対象となることが一般的です。

この違いはペースメーカーの障害年金を考える上で、実は非常に重要なポイントになってきます。なぜなら、受給できる等級や金額に大きな差が生じるからです。

ペースメーカーの障害認定基準

ペースメーカーを装着された方の障害等級については、日本年金機構が明確な基準を示しています。その基準によると、「ペースメーカーを装着したものについては、原則として、障害の程度を3級と認定する」とされています。

つまり、ペースメーカーを装着していること自体が、障害として認められるということです。これは、体内に医療機器を埋め込んでいる状態そのものが、日常生活に一定の制約をもたらすものとして評価されているからです。

ただし、この「原則3級」という基準には重要な注意点があります。障害基礎年金には1級と2級しかなく、3級という等級が存在しないのです。したがって、初診日に国民年金に加入していた方がペースメーカーを装着しても、原則として障害基礎年金は受給できないということになります。

一方、初診日に厚生年金に加入していた方であれば、障害厚生年金3級として認定される可能性が高く、現在も働きながら年金を受給されている方が数多くいらっしゃいます。

より重い等級に認定される可能性も

「原則3級」とはいえ、あくまで原則です。ペースメーカーを装着してもなお心機能の低下が著しく、日常生活に大きな支障が出ている場合には、2級や場合によっては1級に認定される可能性もあります。

たとえば、少し歩いただけで息切れや動悸がする、疲れやすくて家事や仕事に集中できない、階段の昇降が困難である、といった症状が続いている場合には、より上位の等級での認定を目指すことができます。

また、ペースメーカー以外にも、CRT(心臓再同期医療機器)やCRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)を装着している場合は、原則として2級に認定されることになっています。

申請で最も重要なポイントとは

ペースメーカーの障害年金申請において、最も重要になるのが医師に作成してもらう診断書です。循環器疾患の診断書には、現在の症状や日常生活での制限、労働能力の程度などを記載する欄があります。

診断書の作成を医師にお願いする際には、普段感じている症状を具体的に伝えることが大切です。「疲れやすい」「息切れがする」「動悸がする」といった症状があれば、どのような時に、どの程度の頻度で起こるのかを詳しく説明しましょう。

また、仕事や日常生活での制限についても正確に伝える必要があります。「以前のように残業ができなくなった」「重いものを持つのが難しくなった」「長時間の立ち仕事がつらい」など、具体的な支障を医師に理解してもらうことが重要です。

もう一つ重要な書類が、「病歴・就労状況等申立書」です。これは申請者自身が作成する書類で、発症から現在に至るまでの経過や、日常生活での困りごとを具体的に記載します。診断書だけでは伝わらない生活の実情を、この申立書で補完することができるのです。

国民年金加入者の方へ

先ほど説明したように、初診日に国民年金に加入していた方は、原則3級のペースメーカーでは障害基礎年金を受給することができません。しかし、諦める必要はありません。

まず、ペースメーカー装着後も心機能の低下が著しい場合には、2級以上での認定を目指すことができます。また、先天性の心疾患の場合、20歳前に初診日があれば20歳前障害による障害基礎年金の対象となる可能性があります。

よくあるご質問

「ペースメーカーを装着していても働いているが、障害年金はもらえるのか」というご質問をよくお受けします。

障害年金は、働いているかどうかだけで判断されるものではありません。仕事の内容に制限があったり、職場の配慮を受けながら働いている場合には、その状況を申立書で具体的に説明することで、受給につながるケースが多くあります。

「障害年金の更新は必要か」というご質問もよくいただきます。ペースメーカーを装着していても、必ずしも永久認定になるわけではありません。心疾患は症状が変化する可能性があるため、多くの場合は1年から5年程度の有期認定となり、定期的な診断書の提出が必要になります。

専門家に相談するメリット

障害年金の申請は、書類の準備から提出まで、多くの専門知識が必要になります。特にペースメーカーの場合、認定基準の理解や、診断書・申立書の適切な作成が受給の鍵を握ります。

社会保険労務士に依頼することで、複雑な手続きの負担を軽減し、受給の可能性を高めることができます。また、万が一不支給となった場合の不服申し立てについても、サポートを受けることが可能です。

医師との診断書作成のやり取りや、年金事務所での手続きなど、精神的な負担も大きく軽減されるはずです。

まとめ

初診日に厚生年金に加入していた方は、原則として3級に認定される可能性が高く、働きながらでも年金を受給することができます。一方、国民年金加入者の方は3級がないため原則として受給できませんが、症状によっては2級以上での認定を目指すことも可能です。

何より大切なのは、一人で悩まずに適切な情報を得ることです。「自分の場合はどうなのか」「受給の可能性はあるのか」といった疑問をお持ちでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。

障害年金に関するご相談は、グロースリンク社会保険労務士法人までお気軽にお問い合わせください。専門の社労士が、あなたのお悩みを親身になってお聞きし、最適な解決策をご提案いたします。

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