障害年金の「不支給」は見直される時代へ!再点検で444件が支給に一転。障害年金の申請を諦めないで

結論から申し上げます。

過去に障害年金が不支給とされた方でも、いま支給に一転するケースが現実に出ています。日本年金機構の再点検では、点検済み1万4,841件のうち444件(約3.0%)が「不支給→支給」へと処分変更されました。「審査が厳しくなった」という不安の一方で、国は過去の決定を見直す動きを進めています。岡崎市・豊田市・名古屋市で「一度は不支給だった」「再申請を諦めていた」という方こそ、いま状況を確認すべきタイミングです。

当事務所が、この再点検の中身と、申請者・受給者がいま取るべき行動を、社労士の視点で整理します。

なぜいま「再点検」が行われているのか

2025年(令和7年)春、共同通信などが「障害年金の不支給が倍増している」と相次いで報道したことが発端でした。令和7年3月に「障害年金、不支給が増加か 24年、精神・発達は2倍」、同年4月に「障害年金、不支給が倍増3万人に 24年度、幹部交代で厳格化か」「障害年金判定、判断誘導の可能性 機構、医師の傾向と対策文書作成」といった報道が続きました。

これを受けて厚生労働省が日本年金機構と連携して調査を実施。令和7年6月11日に「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」が公表されました。

調査では不支給率の上昇が事実として確認、令和6年度に新たに認定を受けた事案のうち不支給割合は約13%で、過去最高だった令和元年度(12.4%)と同水準。障害の種類別では、精神障害が令和5年度の6.4%から12.1%へと増加が目立ちました。

ただし、「意図的に厳しくした」という事実は確認されていません。精神障害で不支給となっているケース等の計64件について、審査担当職員・センター長等・認定医へのヒアリングが実施されましたが、理事長やセンター長等が審査を厳しくすべきといった指示を行っていた事実は確認できなかったと報告されています。

再点検の結果、何件が「支給」に変わったのか

報告書を踏まえ、日本年金機構は過去の不支給事案などの点検を進めています。

精神障害等の令和6年度以降の不支給事案について、審査請求で裁決等が行われた事案を除き、障害年金センターに配置される常勤医師を中心としたチームによる点検を行い、必要なものは処分を取り消して改めて支給決定を行うとされています。

点検の対象は不支給事案だけではありません。精神障害について、目安より下位の等級に認定され支給されている事案や、目安が2つの等級にまたがるもので下位等級に認定され支給されている事案についても、同様の点検が行われます。

そして直近の速報値がこちらです。日本年金機構の最新の速報値では、点検済件数は1万4,841件、うち支給となった件数は444件(約3.0%)と公表されています。

つまり、過去に「不支給」とされた決定が、国の側から見直されて支給に変わるという事態が、すでに現実に起きているということです。

「判断が揺れる」最大の原因は書類にある

ここからが、私たち社労士が現場で最も強調したい点です。

今回の一連の問題では、認定調書の取扱いをめぐる別の調査も行われました。

厚生労働省が2026年1月16日に公表した「障害年金における認定調書の取扱い」の調査結果では、約7,500件で審査を別の医師に依頼し直していたことが明らかになり、令和7年10月以降分の認定調書811件のうち、当初「支給」とされた判断が最終的に「不支給または下位等級」に変わったケースが17件あったとされています。

専門家の分析は明確です。判断が揺れる原因は「申請書類の曖昧さ」にあると指摘されています。

特に精神障害では、初診日資料の整理が決定的に重要です。厚労省調査でも「初診日資料の不備」が疑義の発生源として挙げられており、転院が多い精神疾患では特に重要だと指摘されています。

精神障害の認定は、外見で測れない「日常生活の困難さ」をどう客観的に伝えるかが核心です。特に精神障害の分野では、数値化しにくい「日常生活の困難さ」をどう客観的に評価するかが課題となっており、審査の目安と実際の判定の整合性を高める取り組みが続いています。

裏を返せば、診断書・病歴就労状況等申立書・初診日の証明をどれだけ精緻に組み立てるかで、結果は大きく変わり得るということです。これは制度運用の揺れに左右されない、申請者側でコントロールできる数少ない要素です。

 

 

いま、障害年金の申請を考えている方へ

ここまでを踏まえ、状況別にお伝えします。

 

① これから申請する方

不支給率が上がっているのは事実ですが、それは「申請しても無駄」という意味ではありません。むしろ、書類の精度が結果を分ける時代になったということです。診断書の依頼の仕方、日常生活の困難さの伝え方、初診日の証明を、最初から専門家と組み立てることをおすすめします。

② 過去に不支給だった方・再申請を迷っている方

最も行動を見直していただきたいのがこの層です。国の側が過去の不支給を点検し、444件が支給に転じている今、「一度ダメだったから」と諦める合理性は薄れています。当時の不支給理由を読み解き、何が足りなかったのかを分析した上で、審査請求(不服申立て)や再申請の道が残されているケースは少なくありません。

③ すでに受給中だが等級に納得していない方

下位等級での支給事案も点検対象に含まれています。額改定請求という制度を使い、より上位の等級を求められる可能性もあります。現在の診断書の内容と、実際の生活状況にギャップがないか、一度確認する価値があります。

まとめ

 

  • 障害年金は「審査が厳しくなった」一方で、国が過去の不支給を再点検し、444件(約3.0%)が支給に転じている
  • 不支給率の上昇は事実だが、意図的に厳しくした事実は確認されていない
  • 判断が揺れる最大の原因は申請書類の曖昧さ、特に初診日資料と精神障害の生活状況の伝え方
  • だからこそ、新規申請・再申請・額改定のいずれも、書類の精度を高めることで結果は変えられる

「自分のケースはどうなのか」——それは個別の事情を見なければ判断できません。障害年金を専門に扱う当事務所まで、まずはお気軽にご相談ください。一度の不支給で、本来受け取れるはずの年金を諦めてしまわないために。

 

参考・出典

  • 厚生労働省年金局「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」(令和7年6月11日公表)

https://www.mhlw.go.jp/content/12512000/001502249.pdf

  • 厚生労働省「障害年金における認定調書の取扱い」調査結果(2026年1月16日公表)

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00227.html

  • 日本経済新聞「障害年金124件の不支給取り消し 厚労省、11月から順次支給へ」(2025年9月)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA190WF0Z10C25A9000000/

  • 障害年金業務統計(令和6年度決定分/日本年金機構)

https://www.nenkin.go.jp/info/kokaitokei/tokei/shogai/index.html

    ※本記事は2026年6月時点の公表情報に基づいて作成しています。点検の進捗状況は日本年金機構ホームページ等で随時更新されるため、最新の数値は公式情報をご確認ください。個別の認定可否・等級判断は、申請内容や医学的事情により異なります。

     

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